検査項目インデックス

血液検査の項目と、そこから見える病気

健康診断や人間ドック、外来の採血で印字される項目を、報告書と同じ順番で一つずつ並べました。それぞれ一行で「何を測っているのか」を示しています。手元の結果で気になる行をここで見つけ、その項目が判断に関わる病気へたどってください。

項目インデックス

報告書の一行一行が測っているもの

並び順は検査室が報告書を組み立てる順番に合わせています。まず血算、続いて肝・胆道系、腎機能と電解質、血糖と脂質、甲状腺とホルモン、最後に鉄代謝・ビタミン・炎症です。基準値は測定機器と方法によって施設ごとに違うので、必ずご自身の報告書に印字された範囲と比べて読んでください。

血算(血球計数)

白血球数 WBC
感染や炎症に反応する免疫細胞の総数。総数より、下の分画のどれが動いたかで意味が決まります。 ガイドを読む
好中球 NEUT
細菌感染の主力になる白血球。感染では数時間で増え、激しい運動やステロイドでも上がります。 ガイドを読む
リンパ球 LYMPH
ウイルス応答と免疫記憶を担う細胞。ウイルス感染で比率が上がり、持続する異常だけが精査対象です。 ガイドを読む
好酸球 EOS
アレルギーと寄生虫に反応する白血球。花粉症や喘息の時期に上がり、普通の風邪では動きません。 ガイドを読む
赤血球数 RBC
血液中の赤血球の個数。単独で見ることは少なく、ヘモグロビンと赤血球恒数と合わせて読みます。 ガイドを読む
ヘモグロビン Hb
赤血球の中で酸素を運ぶ蛋白。低ければ貧血で、自覚症状が出る前から下がっていることが多い項目です。 ガイドを読む
ヘマトクリット Ht
血液全体に占める赤血球の容積比。脱水では見かけ上高くなるため、水分の状態と併せて読みます。 ガイドを読む
平均赤血球容積 MCV
赤血球一個あたりの大きさ。小さければ鉄欠乏、大きければビタミンB12・葉酸不足や飲酒を疑います。 ガイドを読む
血小板数 PLT
止血を担う細胞の数。採血時の凝集で見かけ上低く出ることがあり、まず再検査で確かめます。 ガイドを読む

肝・胆道系

AST(GOT) AST
肝細胞のほか心筋や骨格筋にも含まれる酵素。筋肉を使っただけでも上がるので単独では判断しません。 ガイドを読む
ALT(GPT) ALT
ほぼ肝臓に限られる酵素。ASTより肝障害に特異的で、脂肪肝では軽い上昇が長く続きます。 ガイドを読む
γ-GTP γ-GT
飲酒と胆汁うっ滞に反応する酵素。薬剤でも上がり、禁酒すれば数週間かけて下がるのが特徴です。 ガイドを読む
アルカリホスファターゼ ALP
胆道と骨に由来する酵素。成長期や妊娠では生理的に高く、骨の病気でも上昇します。 ガイドを読む
乳酸脱水素酵素 LD(LDH)
全身の細胞に広く含まれる酵素。溶血や筋肉、腫瘍でも上がり、どこが壊れたかまでは分かりません。
総ビリルビン T-Bil
赤血球が壊れて生じる色素。体質性のジルベール症候群でも軽く高く、絶食や疲労で変動します。
総蛋白 TP
血清中の蛋白の総量。アルブミンとグロブリンの合計なので、内訳を見ないと意味が決まりません。
アルブミン Alb
肝臓が作る主要な蛋白で、栄養状態と肝予備能の指標。低下は数週間かけてゆっくり進みます。

腎機能と電解質

尿素窒素 BUN
蛋白の代謝産物。腎機能だけでなく、脱水や高蛋白食、消化管出血でも上がります。 ガイドを読む
クレアチニン Cr
筋肉から出る老廃物で腎排泄の指標。筋肉量に左右され、痩せた高齢者では低めに出ます。 ガイドを読む
推算糸球体濾過量 eGFR
クレアチニンと年齢・性別から計算する腎臓の働きの推定値。慢性腎臓病の病期判定に使われます。 ガイドを読む
ナトリウム Na
体液量と浸透圧を決める電解質。低下は水分の摂りすぎや利尿薬など薬剤によることが多い項目です。
カリウム K
心臓と筋肉の働きに直結する電解質。溶血した検体では偽性の高値になるため再検査が要ります。
クロール Cl
ナトリウムと対になる電解質。単独では読まず、酸塩基平衡の評価でNaと一緒に見ます。
カルシウム Ca
骨と神経・筋の働きに関わるミネラル。アルブミンが低い人は補正カルシウムで評価します。

血糖・脂質・尿酸

空腹時血糖 FPG
10時間以上絶食した後の血糖値。126mg/dL以上が糖尿病型の判定に使われる区切りです。 ガイドを読む
HbA1c(NGSP) HbA1c
過去1〜2か月の平均血糖を映す値。前日の食事では動かず、貧血があると低めに出ます。 ガイドを読む
インスリン IRI
膵臓が出すホルモンの血中濃度。空腹時血糖と組み合わせてインスリン抵抗性の評価に使います。
総コレステロール TC
血中コレステロールの総量。LDLとHDLの内訳を見ないと、高いこと自体の意味は決まりません。 ガイドを読む
LDLコレステロール LDL-C
動脈の壁にたまる側のコレステロール。目標値は年齢や血圧など他の危険因子と合わせて決まります。 ガイドを読む
HDLコレステロール HDL-C
余分なコレステロールを回収する側。低い値は運動不足や喫煙、内臓脂肪と関係が深い項目です。 ガイドを読む
non-HDLコレステロール non-HDL-C
総コレステロールからHDLを引いた値。食後の採血でも使え、中性脂肪が高い人で重視されます。
中性脂肪(トリグリセライド) TG
直前の食事と飲酒で最も大きく動く脂質。原則として10時間以上の空腹で測ります。 ガイドを読む
尿酸 UA
プリン体代謝の最終産物。痛風の発作中はむしろ下がることがあり、発作時の値だけでは判断できません。

甲状腺とホルモン

甲状腺刺激ホルモン TSH
甲状腺の働きを最初に映す下垂体ホルモン。機能低下では上がり、機能亢進では下がります。
遊離サイロキシン FT4
実際に全身で作用する甲状腺ホルモン。TSHと組み合わせて初めて病型が決まります。
遊離トリヨードサイロニン FT3
活性の高い甲状腺ホルモン。バセドウ病の評価や、重い全身疾患があるときに追加されます。
抗TPO抗体 TPOAb
甲状腺を攻撃する自己抗体。橋本病の背景を示しますが、症状のない人でも陽性のことがあります。
コルチゾール F
副腎が出すストレスホルモン。朝と夕方で大きく変わるため、採血した時刻とセットで読みます。

鉄代謝・ビタミン・炎症

血清鉄 Fe
いま血中を運ばれている鉄の量。日内変動と食事で大きく動き、単独では貯蔵鉄を表しません。
フェリチン Ferritin
体内の貯蔵鉄を最もよく映す値。炎症があると、貯蔵鉄が減っていても高く出るのが要注意点です。
総鉄結合能 TIBC
鉄を運ぶ蛋白の容量。鉄欠乏では上がり、慢性の炎症では下がるという逆の動きをします。
ビタミンB12 VB12
赤血球の成熟と神経の働きに必要なビタミン。不足はMCVの上昇や手足のしびれとして現れます。
葉酸 FA
細胞分裂と赤血球産生に必要なビタミン。妊娠前後や飲酒量の多い人で不足しやすい項目です。
25-OHビタミンD 25(OH)D
体内のビタミンD貯蔵を示す値。日照の少ない季節に下がり、骨と筋肉の維持に関わります。
C反応性蛋白 CRP
炎症があると数時間以内に上がる蛋白。どこの炎症かは示さず、勢いの強さだけを表します。
赤血球沈降速度(血沈) ESR
炎症や蛋白異常でゆっくり動く古典的な指標。CRPより遅れて上がり、遅れて下がります。

病気との対応

血液検査が手がかりを出せる病気

血液検査だけで病名が決まる場面はほとんどありません。ここでは、それぞれの病気について血液検査がどこまで語れるのか、そしてどの項目を組み合わせて読むのかを正直に整理しました。最終的な判断は、症状や診察、画像検査と合わせて医師が行います。

鉄欠乏性貧血

ヘモグロビンの低下とMCVの縮小が並べば鉄欠乏が強く疑われ、フェリチンで貯蔵鉄が実際に減っているかを確かめます。ただし血液検査は「なぜ鉄が失われたか」までは示さないため、月経や消化管からの出血を別に調べる必要があります。

ヘモグロビンMCVフェリチン血清鉄TIBC

糖尿病・境界型(糖尿病予備群)

HbA1cと空腹時血糖は、糖尿病の診断基準に区切りとして組み込まれている数少ない項目です。それでも一度の値では確定せず、別の日の再検査か、症状や経口ブドウ糖負荷試験と合わせて判断されます。

HbA1c空腹時血糖インスリン中性脂肪ALT

脂肪肝(MASLD・NAFLD)

ALTの軽い上昇が続き、中性脂肪やHbA1cも高めという組み合わせは、日本の健診で最もよく見る脂肪肝のパターンです。確認は腹部超音波などの画像で行い、血液検査は見つける入り口と経過の目安として働きます。

ALTASTγ-GTP中性脂肪HbA1c

アルコール性肝障害

γ-GTPの上昇に加えてASTがALTを上回る形は、飲酒による肝障害を示唆する古くからの読み方です。ただし薬剤や胆道の病気でも似た形になるため、飲酒量の聞き取りと画像検査が欠かせません。

γ-GTPASTALTMCV血小板数

慢性肝炎・肝線維化

ALTの持続する上昇に、血小板数の緩やかな低下やアルブミンの低下が重なると、肝臓の線維化が進んでいる可能性を考えます。ウイルス性かどうかは肝炎ウイルス検査で、進行度は弾性測定や画像で確かめます。

ALTAST血小板数アルブミン総ビリルビン

慢性腎臓病(CKD)

eGFRは一度の値では判断せず、3か月以上の低下が続いて初めて慢性と位置づけられます。クレアチニンは筋肉量に左右されるため、尿蛋白の有無と合わせて読むのが日本の健診での基本です。

eGFRクレアチニン尿素窒素カリウムヘモグロビン

甲状腺機能低下症(橋本病)

TSHが上がりFT4が下がる組み合わせが典型で、甲状腺の病気は血液検査が最も直接的に働く分野の一つです。背景に自己免疫があるかは抗TPO抗体で示唆され、確認には超音波が使われます。

TSHFT4抗TPO抗体LDL-Cヘモグロビン

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

TSHが測定下限まで下がり、FT4とFT3が上がる形が典型です。原因がバセドウ病か一時的な甲状腺炎かは血液検査だけでは決まらず、抗体検査やシンチグラフィで区別します。

TSHFT4FT3ALP総コレステロール

脂質異常症と動脈硬化のリスク

脂質の値そのものが心臓病を意味するのではなく、年齢・血圧・喫煙・家族歴と一緒にリスク評価へ入る材料です。中性脂肪が高い人ではnon-HDLコレステロールのほうが実態をよく表します。

LDL-CHDL-C中性脂肪non-HDL-C総コレステロール

高尿酸血症・痛風

尿酸値が高いことは痛風のリスクを示しますが、発作の最中はむしろ下がることがあるため、痛いときの値だけでは判断できません。診断は関節の症状と、必要なら関節液の検査で行われます。

尿酸クレアチニンeGFR中性脂肪CRP

メタボリックシンドローム

腹囲に加えて、中性脂肪・HDLコレステロール・空腹時血糖・血圧のうち複数が基準を超えると該当します。血液検査は判定に使う数値を提供するだけで、腹囲と血圧の測定なしには成立しません。

中性脂肪HDL-C空腹時血糖HbA1c尿酸

急性の感染症

好中球の増加とCRPの上昇が並べば細菌性に傾き、リンパ球が主体の変化はウイルス性を思わせます。どちらも感染している場所までは示さないため、血液検査が決めるのは「どれだけ急ぐか」であって「どこを診るか」ではありません。

白血球数好中球リンパ球CRPESR

ビタミンB12・葉酸の不足

MCVの上昇が先に現れ、ビタミンB12と葉酸の測定で不足が確かめられます。B12不足はしびれなどの神経症状が貧血より先に出ることがあるため、血算が正常でも症状があれば測る価値があります。

MCVビタミンB12葉酸ヘモグロビンLD(LDH)

ビタミンD不足

25-OHビタミンDは体内の貯蔵量を反映し、日照の少ない季節や屋内中心の生活で下がりやすい項目です。低値そのものが病気なのではなく、骨密度やカルシウム、生活習慣と合わせて意味づけされます。

25(OH)DカルシウムALPアルブミン

原因のはっきりしない疲労感

最初の一巡では血算、フェリチン、TSH、HbA1c、肝腎機能、ビタミンB12、25-OHビタミンD、CRPを見るのが定石です。鉄欠乏と甲状腺機能低下、気づかれていない糖尿病がかなりの割合を占め、すべて正常なら原因は睡眠や気分、薬剤など血液検査の外にあります。

ヘモグロビンフェリチンTSHHbA1c25(OH)DCRP

手元の健診結果で、どの数字が大事か分からないときは

検査報告書をアップロードすると、一行ずつその項目自身の基準範囲に照らし合わせ、外れているところに印を付けて、その数値が何を意味するのかをふだんの言葉で説明します。登録は不要で、1分ほどで結果が出ます。

無料で検査結果を解析する

健康情報の参考としてお使いください。医師の診断や、検査機関が発行する正式な報告書に代わるものではありません。

よくある質問

血液検査の数値についてよくある疑問

基準範囲は健康な人の結果の中央95%から引かれた線なので、定義上、健康な人でも20人に1人はどこかの項目で範囲を外れます。30項目が並ぶ健診の用紙に矢印が一つも付かないほうが、統計的にはむしろ珍しいくらいです。本当に見るべきなのは、どれだけ大きく外れているか、複数回の検査で同じ方向へ動いているか、そして症状と噛み合うかどうかの3点です。

各検査室は自分たちの測定機器と測定法、対象となる集団に合わせて基準範囲を検証する必要があり、単位も施設によって異なることがあります。だからこそ、ある数値は必ずその結果が印字された用紙の範囲とだけ比べるべきで、去年の別の施設の数字と直接並べて高い低いを論じると誤った結論に行き着きやすくなります。

血算、肝機能、腎機能、甲状腺機能、フェリチンは空腹である必要がありません。空腹時血糖と空腹時インスリンは8〜12時間の絶食が要ります。脂質の中では中性脂肪が直前の食事の影響を最も強く受けるため、原則10時間以上あけて測ります。HbA1cはいつ採血しても有効です。前日の飲酒と激しい運動は、いずれの項目でも避けてください。

一般的な最初の一巡は、血算、フェリチン、TSH、HbA1c、肝腎機能、カルシウム、ビタミンB12、葉酸、25-OHビタミンD、CRPです。鉄欠乏、甲状腺機能低下症、そして気づかれていない糖尿病が、この段階で見つかる原因のかなりの部分を占めます。これらがすべて正常であれば、原因は睡眠や気分、服用中の薬など、血液検査には映らないところにある可能性が高くなります。

ごく一部では確定に近づきます。HbA1cは糖尿病の判定基準に組み込まれており、TSHとFT4の組み合わせは甲状腺機能低下症を定義します。しかし大半の病気はそうではなく、血液検査の役割は可能性を絞り込み、重症度を測ることにとどまります。痛風はその分かりやすい反例で、発作の真っ最中に尿酸値が基準内ということが実際に起こります。

項目によって変化の速さが違います。CRPと白血球数は数日で動くので、急性の変化が収まったかは1〜2週間後に見直せば分かります。フェリチン、HbA1c、脂質は月単位で動くため、生活や治療を変えたあとは通常3か月後に測ります。境界のeGFRは、急性か慢性かを区別するために3か月の間隔が必要です。実際の間隔は、状況に応じて主治医が決めます。

出典と参考資料

本記事は健康情報であり、医学的診断ではありません。検査結果は必ず医師にご相談ください。